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コラム

菅原のひとりごと

弊社代表・菅原による不定期連載。世の中の動向や日常の出来事を徒然語ります
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第34回

3月10日夕方札幌から仙台空港に戻りました。着陸体制に入った機内から眺めた薄暮の海は静かだったと記憶しています。翌日母親の命日で13時過ぎまで仙台港近くにある専能寺(津波で被災)の墓前にいました。冷たい浜風と小雪の舞う寒い日でした。地震は会社に戻るとすぐの出来事でした。

午後2時47分30秒で会社の電波時計は今でも止まったままです。

長い揺れが終わり、世の中が壊れたかと思ってブラインドの外を見渡した記憶があります。しかし、そこには日常と変わらない景色が広がっていました。あらゆるものが振い落され散乱する事務所内とは対照的な光景でした。揺れが収まった安堵感は、間もなくワンセグに映し出された閖上港、仙台空港付近を襲う津波の衝撃でかき消されていきました。

あれから9ヶ月が過ぎ、仙台は、いつものように年の瀬を迎えています。市街地は何事もなかったかのような喧騒、特に週末はクリスマスと年末の買物客で賑わったようです。いつもと同じ、でもどこかが違う2011年が、あと数日で幕を閉じようとしています。

24日、震災後数週間我家に避難していた初老の隣人夫妻と4人で例の農園で採れた野菜の鍋を囲みました。クリスマスとも忘年会とも少し違う、久しぶりにゆっくりとした時間でした。他愛のない会話は、あの日を避けるかのように何気ない日常や遠い記憶のことばかりでした。ご主人の「本当に生きていて良かった」という呟きが今年を言い表しているような気がします。

皆さんにとっても「特別な一年」だったと拝察します。日本全国様々な場所でそれぞれが、震災と向き合い、たくさんのことを受けとめ、そして明日へ向かおうとしているのではないでしょうか?信じましょう!日本の底力を。

皆様からの心温まるご支援、励ましの言葉、本当にありがとうございました。来年は、皆さんに、地域に、恩返しができる一年でありたいと思っています。

時節柄、ご自愛いただき、良い年をお迎えください。

平成23年12月27日



プロフィール菅原 誠

株式会社エムジョイ代表取締役。
平成元年、地元テレビ局とタイアップした学生の就職支援イベント「探職フォーラム」が縁で脱サラ、独立。主に札幌・仙台を中心に学生と企業の求職・求人活動支援のコンサルティングを展開中。55歳。趣味は野球観戦、蘭、熱帯魚。