第14回
衆参の首班指名が異なり、両院協議会が物別れ、憲法67条の規定により……。昔、社会科の教科書で習ったような出来事がありました。
安倍さんの辞意を聞いたのは出張先の名古屋でした。「何で今なの?」そんな国民の疑問に応えることもなく25日、福田さんが第91代首相に就任しました。庶民には理解しがたい複雑なことがあったとは思いますが、一国の首相が簡単に職場放棄して良い筈がありませんよ。そんなに軽い職責ではないでしょう。今更「断腸の思い」と言われても、むなしく言葉だけが独り歩きしてしまいます。
安倍さんを見ていると近頃の「大人」の代表のように思えます。憲法や国会の勉強にはなりましたが、この国の将来を担う若者や子供たちに説明責任は果したのでしょうか?口先だけで「美しい国」と言っても伝わりませんよ。悪いのは世の中、誰かのせい、困ると逃げ出す、もちろん責任なんて取ろうとしない、重石が効かない甘々の大人たちばかりで健全な心が育つでしょうか?
時を同じくして、16歳の実娘が警察官の父親を斧で殺すという事件が起こりました。繰り返される親と子のむなしい葛藤、命の尊厳は未熟な感情に簡単に流されています。かつての美しい国は尊敬や信頼という島国独特の人間関係さえ失おうとしています。突きつけられているのは国家存亡の危機だと大袈裟に叫びたいですね。
国破れて山河あり。彼岸の少し前、墓参に田舎に帰りました。小高い丘陵地にある墓地から、滔々と流れる北上川を望みます。地図に載る大河は、変わらない重厚な雄姿を静かに鼓舞していました。大人の威厳取り戻しましょうよ福田さん。
平成19年9月26日
菅原 誠
株式会社エムジョイ代表取締役。
平成元年、地元テレビ局とタイアップした学生の就職支援イベント「探職フォーラム」が縁で脱サラ、独立。主に札幌・仙台を中心に学生と企業の求職・求人活動支援のコンサルティングを展開中。55歳。趣味は野球観戦、蘭、熱帯魚。