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コラム

菅原のひとりごと

弊社代表・菅原による不定期連載。世の中の動向や日常の出来事を徒然語ります
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第02回

「この歳になってまた勉強の機会をもらいました。」72歳になる、和服がよく似合うMさん。40年間仙台の国分町で小さな割烹を営んでいて今年2月に惜しまれながら閉店、今は上海で日本料理店のプロデュースをしています。「素材も作り方もまるで違います。でも一番違うのは生活習慣ですね。まずは現地スタッフと一緒になって汗を流すことです。」片言の日本語が飛び交う店の中で凛として際立つ和服姿、異国であることを忘れさせてくれます。先日知人が開店した上海の店でお会いしました。

人の波、クラクション、大渋滞、いたるところが工事中、昼間は太陽が見えない光化学スモッグ、何だか70年代の東京にタイムスリップしたような街が、仙台から約3時間空を飛んだ場所にあります。富める者と貧しさが混在し、騒々しくホコリだらけのそこには環境問題もバリアフリーもお構いなしの裸の中国が存在します。川を隔てた対岸には超高層ビルや建設中の上海ヒルズが見えます。今の日本では想像し得ない異様な光景が広がっています。TVで紹介されているのは本当に観光スポットだけですね。(笑)

日本料理店「一軒家」は50席ほどの小さな店で、現地で働く邦人が多く住む地域にあります。約20名の現地スタッフが忙しそうに働いています。マネージャーを除くと20歳前後の若者たちです。給料は月1500元~1800元、日本円にすると2~3万円というところでしょうか。「とにかくお金が欲しい、休みたくないと言うんですよ。」Mさんも驚く労働意欲、しかも給料が上がるから日本語を学びたいという若者が多いそうです。もちろん貧しさという背景もありますが、「やりたいことが見つからない」どこかの国の大学生とは大きな差があります。輝く眼光にほんの少し悪寒を覚えました。

開店から一週間、多くの日本人が懐かしい味を楽しみに来店してくれているそうで、店は大賑わいです。家族連れも多く、お客様同士の交流も始まっているようです。ただ、中には「日本じゃ課長クラスでも上海では総経理(社長)クラスですから、わがままやり放題の人もいます。マナーも悪いし、態度もでかい。あれが日本人の典型だと勘違いされそうで残念です。日本の恥ですね。」(Mさん談)というお客様もいるようですが。(笑)「時間がかかりますが日本料理というより仙台の味を出していきたいですね。」と意気軒昂に話してくれました。もしかすると和の伝統はこうして異国に継承されていくのかもしれませんね。「いらっしゃいませ、コンニチハ」に慣れ過ぎて、仙台味噌や素材本来の味を忘れないように気をつけます。72歳の伝道師に最敬礼です。

さて、今年もあと数日を残すだけとなりました。皆さんにとってどんな一年だったでしょう?ホリエモン逮捕に始まって、格差社会の世相を反映するような殺伐とした話題が多かったように思います(敢えて書きませんが)。松坂や井川の夢はお金で買われ、庶民には実感の薄い好景気、朝鮮半島の緊張感も含めてまだまだ先の読めない時代が続きそうですね。読めない時代だからこそ、みなさんの就職活動が大切になります。目先のことだけを考えずに、じっくりしっかり動いてみてください。

探職ナビは、来年も十人十色の就職活動を応援したいと思います。 皆さんにとって良い年になりますよう。

平成18年12月27日



プロフィール菅原 誠

株式会社エムジョイ代表取締役。
平成元年、地元テレビ局とタイアップした学生の就職支援イベント「探職フォーラム」が縁で脱サラ、独立。主に札幌・仙台を中心に学生と企業の求職・求人活動支援のコンサルティングを展開中。55歳。趣味は野球観戦、蘭、熱帯魚。