<第05回>職場の中の「うつ病」
こんにちは。産業医の清治です。
今回は、もはや現代病となった「うつ病」についてお話していきます。
前回までお話したストレスとの付き合い方がうまくいかない場合に発症する
のが「うつ病」です。初期の症状は、疲労感・頭痛・食欲不振・不眠などで
す。特に注意が必要なのは食欲不振と頭痛です。この2つが続くと身体的に
疲弊し、結果として心の回復も遅れます。逆にどんなに大きなストレスがか
かっても、バランスの良い食事ができて、睡眠が十分に取れれば、うつ病に
なるまでひどくはならないとも言えます。
最近の若者のストレス耐性が低いと言われる所以も、実はここにあります。 日頃からよい食事・よい睡眠を心掛けないと、ちょっとしたことで落ち込ん だり仕事が手につかなくなったりするようです。
「うつ病の病前性格」ということも言われています。真面目で責任感が強い ・几帳面・自分一人で背負いこむ・頼まれると断れない、などの性格を言い ます。もともとこういう人には仕事が集中しやすいようですので注意が必要 です。
仕事の上でうつ病になりやすいタイミングは、大きな失敗をした時・長時間 残業が続いた時・大きなノルマが課せられた時・仕事の内容や職場が変わっ た時(昇進を含む)などが挙げられます。また、慢性的にコミュニケーショ ン(報告・連絡・相談を略して「ホウレンソウ」などとも言います)が不足 している職場はうつ病の発生率が上がります。
以上より、職場でうつ病を発生させない為の7ヶ条を挙げてみましょう。
- 社員一人一人がよい食事・よい睡眠を心掛ける。
- 一人に仕事が集中しないようにする。
- 無理な仕事は断れるような雰囲気を作る。
- 日頃から、全員で明るく挨拶をする。
- こまめな「ホウレンソウ」を心掛ける。
- 失敗は一人の責任にせずに、みんなでカバーし合う。
- 残業はできるだけ少なくする。
どんなに気をつけていても、ある一定の確率でうつ病は発生します。うつ病 になったら専門医の診断・治療を受けます。受診すべき状態は「食欲不振・ 不眠」です。そして、必要があれば仕事を休みましょう。長期にわたり休ん だ場合は、職場復帰の際に注意が必要です。主治医の意見もさることながら、 産業医と協力して「復職支援プログラム」を策定・実行することにより、再 休職を予防することができます。
職場の中の「うつ病」は社員一人一人ができるだけ予防し、もし発生しても 適切な対応を行うことで影響を最小限に食い止めることが重要なのです。
Dr.セイ : 清治 邦章(セイジ クニアキ)
- 37歳、医師、労働衛生コンサルタント。仙台市生まれ。
- 1999年 3月産業医科大学医学部卒業、医師免許、産業医資格取得。
- 産業医科大学循環器科、九州労災病院循環器科での勤務を経て、JR仙台病院健康管理センターに勤務後独立、訪問医、産業保健推進センター相談員としても活躍中。
- 趣味はマジック(プロ級)とバスケットボール。
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