<第06回>「ディスカッション」を効果的に活用する!(2)
◆ディスカッション効果の変化
20年間研修を実施して気づいたことは、ディスカッションの効果が大きく変化してきたことです。かつては、必ずといってよいほど、ディスカッションに参加せず、ただ黙っているタイプや、斜に構えて議論を邪魔するような人間がいて、カリキュラムの進行に苦労しましたが、ここ10年ほど、そういったタイプは影をひそめました。もちろん、もの静かな人はいますが、少なくとも、視線は会話に参加しているように見えます。さすが、「共感性の高い現代の若者」といった感じでしょうか?
これを逆手に取ると(表現は好ましくないですが)、若者同士のディスカッションは、非常に「言語の共有化」が早くできるということです。前回、「理念やミッションがなぜ生まれたのかをディスカッションしたほうがよい」と書きましたが、仮に、社長が10回説明するよりも、ディスカッションのテーマとして、事前に議論させたあとに社長の説明を聞かせてみてください。一度で、乾いたスポンジに水を吸い込むが如く吸収します。このパターンはぜひ、お試しください。きっとその効果に驚くはずです。
◆「議論の結果は仮説でよい」
講義型研修の欠点は、「正解を教えること」にあります。「えっ!」と驚かれるかもしれませんが、「正解」を教えてしまえば、彼らの思考回路は停止します。社内講師の最大の欠点はここにあります。先輩として知識を教えたいあまり、手っ取り早く結論を押しつけます。これが、「学校の『お勉強』となんら変わらないことを理解してください。何度もお話しますが、その効果がかなり低いことは、現在の日本の学生の学力レベルが先進国中の最下位組ということで証明されています。逆にディスカッションは、「仮説」を議論していくうちに、「正解」を知りたいという欲求が高まるのです。だからすんなり覚える、という簡単な構図なのです。現代の教育は、生徒の「なぜ?」を排除してきました。意味は分からなくとも、縦軸はY、横軸はXと無理やり覚えさせられます。それは学び習うこと(学習)ではなく、強いられることに勉める(勉強)なのです。
◆「座布団1枚歓迎」?
もうひとつ「面白い回答を必ず一つ出そう」と指示してみましょう。そして笑える回答については、高得点を与えるようなゲーム方式を取り入れるのです。そして笑点のように「座布団1枚!」。研修らしくなくて、嫌がる方もいらっしゃるかもしれませんが、ユーモラスな事を考える大脳の回路は、真面目な回答を考える回路とは違うため、脳が活性化し、その後教える正解の記憶力が高まるのです。実際にやってみると、今の若者は、案外面白い回答を出せません。(昔の若者にやらせるとオヤジギャグばっかりになりますが・・・)パラダイムが拡大しますので、思ってもみない成果が生まれることがあります。
Mr.NO
- S34年 宮城県生まれ
- S58年 大学卒業後 7年間の住宅営業を経て、研修・採用担当として20年間実務にたずさわる
- 自他ともに認める いのしし年、B型、さそり座の典型人間?