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コラム

Mr.NOの「いまどき社員の育て方・育ち方」

人事担当者として20年のキャリアを持つMr.Noによる
採用・社員研修の事情についての辛口トーク。
»第01回から見る

<第03回>「若者に真の目的を理解させるために・・・」

「目的を理解させる」

「子供たちはある意味での被害者」という認識は出来たでしょうか。この認識が薄いと、なんでもないような一言が「パワハラ」のように受け止められ「うつ」などのトラブルを引き起こします。血族以外の年長者とのコミュニケーションを社会に出て初めて体験するという学生も多いでしょう。アルバイトといっても、オウムのように決まったセリフを繰り返すようなコンビニのアルバイトでは、コミュニケーション能力は身につかず、かえってロボット的な人間を作り出すだけです。店主は、客との無用なトラブル回避のために、必要以上の客との対話を禁じてます。あたかも、「コンビニに来る客は余計な会話を求めない冷淡な客だ」、とか、「いまどきの客は、売り手と買い手の、必要以上のコミュニケーションを好まない」、というような、まことしやかな顧客論が大手を振ってまかり通っています。 これは日本の客商売が「顧客創造」に失敗したという結果論です。だからといって、漫画の立ち読みを堂々と許している現状はいかがかなと思いますが・・・。
多少余談になりましたが、メールの出現によって、会話の楽しさを味わったことの無い、可哀想な若い人が増えたと思ってください。就活にもエントリーから結果報告までメールの時代です。それでありながら、若い人に望むのが「コミュニケーション能力」が第一位とは、これは全く変な話です。

「採用時点からの育成」

であれば、≪採用のときから、全てアナログに変更≫したらいかがですか。説明会の段階で、「当社は、通信手段にメールは使いません。それは当社は人を育てるというポリシーを持った会社で、皆さんの成長のためです」という目的をきちんと明示すれば、学生にとっては、かえって新鮮です。それに呼応してきた学生の内定歩留まりは格段に高くなるでしょうし、当初から「電話」や「訪問」の出来るタイプのアナログ人間が集まりやすくなり一石二鳥です。

「目的」の理解のさせ方

表題にある通り、「目的を理解させる」効用は他にもあります。親や学校でも「目的・目標」を持ちなさい、と教えます。ところが、大方結果の押し付けが通例です。その目的目標に関して、十分な思考をさせることはしません。そのため、勉強と同じで、人間は強いられることに抵抗を示しやすくなります。ですから、目的を教えるのではなく、なぜその目的なのかを十分考えさせる時間が必要です。
企業における目的は、しばしば「企業理念」というもので明示されます。それも押し付けではなく、なぜその目的に至ったか、若い人に「仮説」を立てさせるような議論の場を設け、その上で、トップの解説という順序が効果的です。最初から解答を教えられないまどろこしさを感じるでしょうが、人材の育成は、一に忍耐、二に忍耐、三四が無くて、五に忍耐です。目的意識が根付けば多少のストレスではくじけない社員に育つ可能性が高くなります。面倒かもしれませんが、社員教育のスタートはここにあります。

プロフィールMr.NO

  • S34年 宮城県生まれ
  • S58年 大学卒業後 7年間の住宅営業を経て、研修・採用担当として20年間実務にたずさわる
  • 自他ともに認める いのしし年、B型、さそり座の典型人間?