<第02回>「理解してから理解される」
まずは、指導する側の自覚が最も重要・・・「理解してから理解される」
「飽食の時代に育った人たち」とは、マズローの欲求の5段階説で言えば、一次欲求がはじめから満たされている人たちでしょう。かつ平成育ちの若者は、2段階の欲求さえも無いのかもしれません。すなわち、生まれたときから、高次元の欲求の段階に属しているのです。指導する側は、欲求の段階をクリアしてきた昭和育ちの人間と、最初からベンチマークが異なることを意識しなければなりません。コミュニケーションの原則ですが、「理解してもらいたかったら、まず相手を理解する」ということが最も重要になります。今回はそのあたりを中心に。
研修はOJT主流へ
上司が「我々の若い頃はだな、うまい物も食えず・・・」と言った瞬間に聞く耳は閉じられてしまいます。人間の五感は、まったく都合のいいように出来てますから、「聞きたくない」と受け止めれば、自然と聞こえてきません。(先進国中、最下位に近い学力はこのレベルと言われます)特に、経験の無い事柄については何度言い聞かせても、頭では理解しても、実行に移すことは難しい、ということになります。ですから、教育の現場はますますOJTが中心とならざるを得ません。ただし、教える前に、カルチャーの違いをヒアリングしてあげることが肝要です。相手が理解を示さないと、教育における説得力は半減してしまいます。
OJTの落とし穴・・・「試行錯誤させるには時間が無い」
しかし、昔のように、「先輩の技術を盗め」も難しいでしょう。手取り足取り、一緒に同じことをやるということが一番手っ取り早く、職人の世界でも、こういった教え方に変化しています。そのかわり、人間国宝のような師匠に師事しても、所詮師匠のミニチュアにしかなりません。ビジネスマンの世界では、上司の能力を100とした場合、OJTによる教育では、部下の成績は、おおよそ60でしょう。一人あたりの生産性が、60%になるわけですから、必然的に人数を増やしてリカバリーするしかありません。自称60%理論(?)と名づけていますが、経験値の無い人にとって、「結果」を教えられてもせいぜい60%くらいしか理解できないということです。その業界や、会社の黎明期に「試行錯誤」して編み出してきたビジネス手法は、あくまでその人や企業の「試行錯誤」というベースがあって実践で生きるものなのです。ところが、企業はその時間的余裕がありませんから、過去の高業績者のテクニックや仕組みという「果実」を若い人に与えます。「種から育つ過程」を知らずに結果論としての「果実」だけを与えられるのですから、全く応用が利く筈がありません。
ではどうすればよいのか、次回以降で紹介しましょう。
Mr.NO
- S34年 宮城県生まれ
- S58年 大学卒業後 7年間の住宅営業を経て、研修・採用担当として20年間実務にたずさわる
- 自他ともに認める いのしし年、B型、さそり座の典型人間?